攻撃陣の不振も期待する選手は多い
攻撃陣もチーム打率.259と出場6カ国中5位と振るわなかった。特に長年チームを支えてきたチームの絶対的存在であるダイアナ・バティスタの不振が響いた。
原因はそれだけではない。大会中、チームの団長であるマルガリータ・マジェタ氏に話を聞くと「ここ数年で女子野球界でも多くの選手がキューバを離れ、アメリカに渡った」と嘆いていた。女子代表クラスの主力選手もキューバを離れており、今大会に想定していたベストメンバーには程遠かったようだ。
それでも、魅力的な選手も多かった。筆者が個人的に注目していたのはリビア・ドゥアルテ一塁手だ。長打力とスピードを兼ね備えたで大型内野手。高い身体能力を活かしたアグレッシブなプレーが持ち味だ。大会開幕前には「状態が上がってこない」と漏らし、フランス戦まで7打数1安打と苦しんだ。しかし、ベネズエラとの試合では3安打4打点3盗塁と復調。延長戦の末、敗れはしたが強豪国をあと一歩まで追い詰めた。
主に1番を打ったエスツピニャンも成長した姿をみせてくれた。日本戦こそ欠場したものの、開幕から4試合連続安打をマーク。不動の1番打者として攻撃の起点となった。そのほかにも2016年釜山大会で控え選手だったユスナビ・ボンネ、グレンダ・ドゥネット両外野手が主軸を担い7年ぶりW杯に帰ってきた。これからの選手の更なるレベルアップがキューバ代表躍進の鍵となるだろう。
世界の女子野球は急速にレベルアップしている
筆者は過去に2016年釜山大会、2018年フロリダ大会を撮影し、今回が3度目の女子野球W杯だった。大会を通して印象的だったのが、各国のレベルが上がってきていることだ。特に中南米のチームはこれまで、イージーミスや集中力を欠いたプレーでゲームを落としてきた。今大会ベネズエラやプエルトリコはそういったプレーが少なかったことが日本と互角に渡り合えた要因だろう。グループリーグ突破とはならなかったが、プエルトリコの躍進は今後女子野球界の勢力図を変えていくに違いない。
また、全敗を喫したもののフランスも初出場のW杯で堂々たるプレーを魅せてくれた。最終戦では世界ランキング2位の台湾相手に一時リードするなど健闘し大会を盛り上げた。
各国のレベルアップに取り残された印象のある女子キューバ代表。今後はいかに世界レベルに追いつけるかが焦点となる。若い選手の経験不足は否めないが、今年5月にはプエルトリコチームを招待し、6試合のエキシビションマッチを行うなどしてきた。今後も予算が限られる中で、いかに選手たちに経験を積ませるかが今後の課題となってくる。これまで女子野球発展に尽力してきたマジェタ氏の更なる手腕に期待がかかる。
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