64回セリエ・ナシオナルには、かつてメジャーリーグ(MLB)組織に所属した選手が13人名を連ねることとなった。昨季の63回大会では15人が出場しており記録更新には至らなかったが、今季も依然として高水準の人数が集まった。シーズン中に追加合流の可能性もあり、戦力構図を大きく左右する存在となる。キューバ野球の最高峰リーグに元MLB組が多数参戦することは、2026年WBC代表の底上げにも直結する重要な要素である。
中でも注目は3人のMLB経験者だ。ピナール・デル・リオのアレクセイ・ラミレスはホワイトソックスなどで長年活躍した名遊撃手で、昨季に続く復帰二年目を迎える。インダストリアレスのヤスマニ・トマスは強打が魅力の長距離砲で、帰国後3季目となるが、十月以降はメキシコ冬季リーグ参戦が予定されており、国内での出場機会は限定的になる見込みである。そしてドジャース傘下出身のエリスベル・アルエバレナはマタンサスでの五年間を経て古巣シエンフエゴスに復帰し、再び故郷のユニフォームに袖を通す。
最多の所属を誇るのはサンティアゴ・デ・クーバである。ヨルディス・ペレーラ、マルコス・ベレン、ヨエル・ヤンキ、ヨシエル・セラーノの四人が名を連ね、その中でもヤンキはダイヤモンドバックスやレッズ傘下で四年を経験した実力者として注目される。ベレンはクリーブランドと契約後に早期退団を選んだ異色の経歴を持ち、今回がセリエ初参戦となる。こうした顔ぶれが揃うことで、サンティアゴ勢は来年のWBC代表候補に食い込む可能性も高い。
他地域にも元MLB戦士は散らばっている。ピナール・デル・リオにはラミレスと並びラサロ・レスター・ベニテスが加わり、シエンフエゴスではアルエバレナに加えて投手のヨルダン・ノダルが戦力となる。ラス・トゥーナスはロベルト・バルドキンに加え、かつてアトランタ傘下で三年間プレーしたヘンリー・キンテロを迎えた。さらにビジャ・クララにはクリスティアン・モレ、グアンタナモにはブレーブスやロイヤルズ傘下で六年間プレーしたフアン・カルロス・ネグレットが加入している。ネグレットは独立リーグでも強打を証明しており、新天地での飛躍が期待される。
一方で、アルフレド・ロドリゲスやヤディル・ムヒカといった常連組の名前は現時点でリストに含まれていない。ただし、ロドリゲスはインダストリアレスからの出場がSNS上で報じられており、登録変更によって十四人目に加わる可能性も残されている。大会直前の編成変更は珍しくなく、最終的な人数がさらに増えることも十分に考えられる。
また、メジャー契約直前まで進みながら身体検査で不合格となった逸材も今季の舞台に立つ。アテミサのブランデル・ゲバラ、インダストリアレスのレイミ・ガルシア、ピナール・デル・リオのレオダン・レイェスの三投手である。いずれも契約直前まで進んだ実力者であり、国内リーグでの飛躍が期待される。
これまでにMLBと契約し、その後セリエ・ナシオナルやエリートリーグでプレーした選手は二十三人に及ぶ。ラミレス、トマス、アルエバレナに加え、ルスネイ・カスティーヨ、ヤディル・ドレイク、レスリー・アンダーソンら名選手も含まれている。こうした帰国組がセリエに厚みを加えることで、リーグ全体の競争力は大きく高まっている。
64回大会に名を連ねた元MLB選手たちは、単なる戦力補強にとどまらず、2026年WBCを見据えた代表争いに直接的な影響を及ぼす存在である。その一挙手一投足が注目され、キューバ野球の未来を占う大会となる。
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